シルバーブラッド ゼロ
扉の内側には、二十畳ほどの、薄明かるい部屋が現われた。

カーテンが完全に閉められてないせいで、月明かりが忍び込んでいるようだ。

その明かりが、キングサイズのベットの上を照らしている。

そこに埋もれるように体を沈めていた男が、物音に驚いて飛び起きた。

彼女は悠然とそこに立ったまま、男の顔を確認すると、彼に向かって右手を上げた。

次の瞬間には、男は驚きを顔に貼り付けたまま、額にくっきりと穴をあけて、再びベットに横たわった。

侵入者に対する驚き以外、何も感じる暇はなかっただろう。

彼女は男の方に歩み寄った。

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