渇望
くだらないことを話しながら、夜は更けていった。


二次会に出た子もいれば、家に帰った子、酒に酔ってテーブルに突っ伏したまま眠っている子もいる。


結局、明け方も近くなり、起きて片付けをしているのはあたしと真綾だけとなっていた。



「ホンマ、百合りんおってくれて良かったわ。」


「もしかして、それ目的だったとか?」


「いやいや、そんなことはあらへんよー。」


「棒読みで言うな。」


散らかった紙コップを集めていると、あたしのバッグの中で着信音が響いた。


さすがに明け方も近いこの時間だし、一体誰なのかと思い、急いで取り出したそれの通話ボタンを押す。



『うぃーす、俺!』


声の主は、ジュン。


しかも、電話越しにも相当酔っ払っていることが聞き取れる。



「何よ、どしたの?」


『んー、今から会えない?』


「へ?」


時間的に見ても、もう店は終わっている頃だろうけど。



『俺、今すぐ百合ちゃんの顔見なきゃ死んじゃうー!』


と、彼は言いながら、ケラケラと笑っている。


きっと今日のイベントで大分飲んだのだろうと想像し、肩を落とすことしか出来ないのだけれど。


でも、こんな状態のヤツを放っておけるほど、残念ながらあたしは薄情ではない。



「わかったわよ、行くから!」

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