渇望

失ったもの

ジュンと帰郷してから、約一ヶ月。


おばあちゃんのあたたかさは恋しいけれど、でももう戻れない。


冬の寒さだけが増していき、今日もあたしはオヤジに体を貪られていた。



「百合ちゃん、良いよ。」


何が?


そう聞き返してやろうかと思うほど冷静な思考と、壊れたラジオのように喘ぐあたし。


瑠衣は相変わらず気まぐれにしかあたしを抱かない。


それでも週のほとんどを一緒に過ごしているし、結局のところ、関係性は永遠にこのままな気もするが。


その体からは定期的に外国製のボディーソープの香りがしていて、あのアミとかいう女の顔ばかり思い出さされる。


同じ指輪でも、つけるあたし達は別の人間だ。



「百合ちゃんを愛してるんだ。」


縋るように、客は言う。


瑠衣に同じことを言われたらどうするだろう、なんてことを思った。


あの男は、あたしの存在で孤独を埋めているだけだ。


それは最近思うようになっていたし、だからって別に、責めようなんて気もない。


きっとお互い様なのだろうし、この街で生きるには、それで十分なのだとも思うから。


愛し方も愛され方も知らない、あたし達。


だから完全なる瑠衣の所有物にしてほしかった。



「最近、何だか痩せたね。」


耳障りな客の声を無視した。


と、同時に、時間終了を告げるアラームが鳴り響いた。

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