渇望

ネオンの色

香織と流星が逮捕されてから、約一週間。


クリスタルもまだ営業を見送っているので、あたしはいつも、瑠衣の部屋から街を眺めながら、答えを探していた。


彼は何を強制するわけでもない。


あの頃、瑠衣の心がもう限界だなんてことにも気付けず、あたしは傍にいてくれることに甘えていたのだと思う。


とっくの昔に壊れていた。


けれど、最後に金槌を振り下ろしたのは、きっとあたしだったのだろう。







オーシャンはもう、通常の営業に戻っていた。


流星の噂も少し減ったようで、あの男がいなくとも、フロアは今日も埋まっている。


ナンバーワンはジュンになっていた。



「ちょっと、ジュンちゃんどうしたわけ?
そんな浮かない顔してたら、酒が不味くなるっての。」


けれど、曖昧に笑った彼は、



「百合、ちょっとこの後で時間取れない?」


「何よ、今じゃダメなの?」


「いや、長くなりそうだし。」


つまりはジュンは、ここに座っているだけで金を吸い取られるあたしの財布の心配をしているらしいが。


てか、朝まで待てるはずもない。


何だか腹が立ったので、ヘルプの男達を追い払って「んで?」と聞くと、彼は肩をすくめて煙草を咥えた。


他の卓のうるささが耳障りなほど、ここだけの沈黙が重い。

< 234 / 394 >

この作品をシェア

pagetop