渇望
「残り物でごめんね。」
そう言ってアキトが出してくれたのは、カレー。
何だか向かい合わせに食卓を囲んでいると、無駄なことを考えるのも馬鹿らしくなってしまうが。
一口頬張ると、あまりの美味しさに驚いた。
「ちょっとこれ、何か隠し味でも使ってんの?」
「あ、わかる?
あのね、インド料理の店やってる人がスパイスとか配合してくれたの。」
「それって本格的すぎでしょ。」
「まぁ、俺が作ったんじゃないけどね。」
じゃあ誰が作ったのか、ということは敢えて聞かなかった。
とりあえず落ち着くとお腹が空くのは当然で、だから少し呆れながらも食べるあたしを見たアキトは、満足そうな顔で笑う。
何だかあたしは、拾われた犬のようだけど。
半分ほど食べ終えたところで手を止め、あたしは僅かに息を吐いた。
「聞いてくれる?」
「うん。」
きっと言う必要はなかったのかもしれない。
それでも、もう何かを隠すことにも疲れ果て、だから半分は漏らすように宙を仰いだ。
「瑠衣、探してる人に会っちゃった。」
「……え?」
アキトはその瞬間に目を丸くするが、
「だからあたし、何かその場にいられなくなってさ。」
そう言ってアキトが出してくれたのは、カレー。
何だか向かい合わせに食卓を囲んでいると、無駄なことを考えるのも馬鹿らしくなってしまうが。
一口頬張ると、あまりの美味しさに驚いた。
「ちょっとこれ、何か隠し味でも使ってんの?」
「あ、わかる?
あのね、インド料理の店やってる人がスパイスとか配合してくれたの。」
「それって本格的すぎでしょ。」
「まぁ、俺が作ったんじゃないけどね。」
じゃあ誰が作ったのか、ということは敢えて聞かなかった。
とりあえず落ち着くとお腹が空くのは当然で、だから少し呆れながらも食べるあたしを見たアキトは、満足そうな顔で笑う。
何だかあたしは、拾われた犬のようだけど。
半分ほど食べ終えたところで手を止め、あたしは僅かに息を吐いた。
「聞いてくれる?」
「うん。」
きっと言う必要はなかったのかもしれない。
それでも、もう何かを隠すことにも疲れ果て、だから半分は漏らすように宙を仰いだ。
「瑠衣、探してる人に会っちゃった。」
「……え?」
アキトはその瞬間に目を丸くするが、
「だからあたし、何かその場にいられなくなってさ。」