渇望
最終章-存命-

命と選択肢

アキトが灰となり、空に昇って一週間余りが過ぎただろうか。


とはいえ、あたし達の間に時間が正常に流れているのかどうかなんてことは、定かではないけれど。


日を追うごとに、アキトが死んだというリアルだけが鮮明になっていく。


どうしてだろう、何でこんなことになってしまったんだろう、と、相変わらず思ってばかりだ。





瑠衣はシャブの切れ目だった。


時にのた打ち回るように暴れ、物を壊すこともあれば、叫び散らすこともある。


悲しみも、苦しみも、全てを吐き出すようにあたしを抑えつけ、乱暴に抱かれたりもした。


それは、壮絶、という単語ひとつで簡単に表せるようなものではない。


よく、クスリを本気で抜きたいなら隔離して縛りつけろ、なんて言うけれど、まさにそれを願っていた自分がいたほどだ。


あたしは過度のストレスからか、慢性的な微熱や貧血、食欲不振にまで陥っていた。


地獄の苦しみってヤツは、こういうのを言うのかもしれない。


ただ、瑠衣が瑠衣でなくなりそうで、怖かった。





それから更にまた一週間ほどが過ぎ、やっと瑠衣の状態は、少し落ち着いたようだ。


けれど、目の前にモノがあれば、どうなるのかなんてわからないけれど。


アキトが死んだと知ったあの瞬間までは、もうここから出て、瑠衣と離れるべきだと思っていた。


でも今は、こんな状態の彼を放ってはおけなかったのだ。


あたしが瑠衣を見捨てれば、彼は本当に独りぼっちになってしまうから。


だから、そんなことは出来なかった。

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