渇望
ジュンは待ち合わせたコンビニで、再びあたしを降ろしてくれた。


そしてあたし達は、じゃあね、の言葉ひとつでその場で別れた。


散々泣きすぎてまぶたは腫れぼったくなっていて、おまけに色んな事を考えなければと思う反面で、正常な思考とは程遠い。


体中に付き纏う倦怠感を押して、あたしは瑠衣のマンションまでの道のりを歩く。


ぽつん、ぽつん、としかない街灯は、虚しく辺りを照らしていた。



「あら?」


向こうから響いていたヒールの足音が、そんな声と共にあたしの前で止まる。


恐る恐る顔を上げた時、彼女は挑発するような瞳でこちらを見ていた。


正直今は、この人と話してる余裕なんてないのだけれど。



「アミさん、でしたっけ?」


「覚えててくれたなんて光栄だわ。」


「てか、何か用ですか?」


どうして無視をしなかったのだろうと、今では思うけれど。


アミさんは詩音さんなんかよりずっと感情をあらわにした顔で、その瞬間に眉をつり上げた。



「別にあなたには何の用もないわ。」


じゃあ、瑠衣に会いに来た、ということだろうけど。



「瑠衣ならいませんよ。」


「じゃあ、どこにいるの?」


食い下がる彼女に、



「アミさんには関係ないでしょ。」

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