不器用に、キミと。
ぶんぶんと腕を振ってみるけれど、聖地が腕を放してくれる気配はない。
こうなったら…
掴まれていない右手を思い切り振り上げ、聖地の顔面めがけと思い切りその手を振りかざした。
「相変わらず暴力的なオンナ。」
「え」
右手首をそっと後ろから、その声の主に掴まれ、そして手の甲温かな吐息て柔らかな感触がした。
その声とその感触に私は思わず動けなくなる。
「遅ぇよ!もうすぐで帰っちまうとこだったんだぜ?!こいつ!」
聖地は目の前で私の後ろにいるアイツに向かってプンプンしている。
聖地よりも少し低い声と、遥かに高い身長。
右手首にあたる無数の少し冷たい金属。
それはシルバーリングだと見なくてもわかる。
「…キョウジ。」
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