不器用に、キミと。



「まぁ、さ?ファーストキス奪っちゃった俺が言うのもなんだけど、せっかく兄貴と仲直りしたんだから二人でぱーっと海行ってきたら?」


「え…」


「水着で兄貴メロメロだぜ。」



そこで一気に妄想ワールドに突入。


高校生ともなればビキニでしょ!

まだ肌焼けてないし、黒ビキニで攻めてみようかしら。


『まこと…まぢsexyだぜ…っ俺、もう我慢できねーよ。』


それとも、それとも!!
ピンクのフリフリで、ワンポイントにリボンつけてみるとか!


『お前っまぢ可愛い!誰にも見せたくねぇ!俺だけのもんだ!』


嗚呼!!

迷うよーうっ!!



なんだろ、キョウジって可愛い系がいいのかな?
それともセクシー系がいいのかな?


『何系もなにもねーよ。あえて言うなら…まこと系がいい。』


「きゃーっっ!海サイコー!」


「よし!じゃあ兄貴にも言っておくから!んーっと水曜日!水曜日朝9時に駅で待ち合わせな!」







半ば騙されたんだ…。


蒸し暑い店内で注文を取り終わると、どっと疲れが増した。



キョウジ…。


頭にタオルを巻き、黒Tシャツの袖を肩まで捲り、タンクトップを着てるみたいな着こなしで、焼きそばを焼いているキョウジの姿を見つめる。



この姿をみれるだけで幸せ…。


そう思う私は重症だと思う。
< 32 / 35 >

この作品をシェア

pagetop