不器用に、キミと。
結局、買った水着はまだ着れてないし、バイトは思っていたより大変できつい。
隣町だから家に帰るのに時間はあまりかからないけど、バイト終わってすぐ帰らないとバス通らなくなるはで、ほんと楽しい時間はほとんどない。
騙されたんだ…。
セージ。嘘つき猿っ。
キッと店内で逆ナンされてるセージを睨むと、「殺気がする…っ」と身震いした。
嗚呼。
ため息しか出てこない。
キョウジのことは好き…だけど、どんな理由にしろ、私との約束破ったわけだし。
浮気にしか思えないよ…。
久々に顔見たら、頭の整理ができなくなって、でもキョウジを好きってことだけははっきりしていて、裏切られたはずなのに未練たらたらで…
理由を聞かなきゃってわかってるけど、またビンタしちゃいそうだし、それに…
「…っい!おい!聞いてんのかよブス!」
「えっ?はっ?」
目の前には大きな青い瞳。
「手が止まってんぞ。」
一瞬誰だかわからなかったけど、すぐにセージだってわかった。
こいつを間近で見るのは、あの合コン以来だけど、青い目なんかしてなかった。
「カラコンかよ…ませ餓鬼。」
「…。」
私の声が聞こえたのか、眉をひそめ睨みつけてきた。
お互いしばらくの間睨み合っていたけれど、店長の声でそれはあっけなく強制終了された。
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