MOON LIGHT
『はぁーいっ』
私は、何の躊躇いもなく家の大きなドアにゆっくりと手を掛けた。
『…っ!!?』
目の前には愛しい両親の姿…―
ではなく、
現れたのは見た事も無い男の人だった。
6才の私でも、流石に自分が危機的状況に置かれている事には気付いた。
“…知らない人を招きいれてしまったんだ…”
声にならない悲鳴を喉に詰まらせながら、私は立ち尽くすしかなかった。
何もしてこない男の人に一握りの安心をしながら、下から見上げるようにしてそーっと男の人の顔色を窺った。
その男の人は、私なんかより遥かに背が高かった。
20代前後に見えた。
目はハッキリとした二重で、鼻筋はすーっと通っていた。
一般的には綺麗な顔立ちをしてるであろう。
でも、その綺麗に整った顔が余計に私の不安を煽ったのだ。