MOON LIGHT
声の主が誰なのかは、もう分かっていた…。
今、ここに1番来て欲しく無かった人――…
――…聖だった。
私は、少し身をよじって視界を天井から後ろ側に移した。
そこに入ってきたのは、予想通り聖だった。
さっきの男の発言で、顔の筋肉が強張ってきているのが分かる。
『…っ、雅を離して下さいっ!!』
やっと、口を開いたかと思ったら聖はそんな事を言っていた。
私なんか気にせずに逃げてくれればいいのに…。
「いいよっ♪」
思わぬ返事が男から返ってきた。
私としてはとても嬉しい事なのだが…
普通に考えて、何かおかしい。
「ただし…君が相手してくれるならねっ☆」
男が笑顔でそう答えた。
その瞬間、聖が少し後退りしたのを私は見逃さなかった。