MOON LIGHT
『…っ、いいですっ…よ』
聖は、その震える唇で答えた。
顔は不安の色で一杯で、瞳の奥では泣いているみたい…。
なのに、私を庇おうしてくれている…。
「交渉成立だねぇ♪」
ニッコリと、男は気持ち悪い笑みを浮かべた。
聖は今にも泣きそうな顔なのに、私と目が合うと微笑んでくれた。
優しく、大丈夫と言うかのように。
「じゃぁ、君はもういいよっ」
そう言って男は、私を隅っこへ追いやった。
そして、聖の下へ歩み寄った。
聖は逃げる事もせず、男にまっすぐと視線を向けていた。
『…雅は来るなっ!!』
私が、聖の所へ行こうとすると聖が大きな声で叫んだ。
『雅は…隠れてて…』
聖は、笑っているのか怒っているのか…
よく分からない表情だった。