MOON LIGHT


そんな聖の表情に少し驚いて後退りをした。

“カンッ…”

後退りしたつもりが、
ドアノブに手をぶつけてしまった。

鈍い音が、広い廊下に響いた。

お母さんを宥めていたお父さんが、
こっちに視線を向けた。


もう、隠れるのは無理だと思って素直にドアを開けてリビングへ入っていった。


「雅…」


お父さんが悲しそうな表情で、私を見た。


『お父さん…??』


なんだか、色々な事を否定して欲しくて…
縋るようにお父さんを見た。

でも、お父さんはバツが悪そうに顔を背けて視線を合わせる事はなかった。


お母さんに目をやると、
まるで私から聖を庇う様に聖を抱きしめていた。


私自身が悪い訳じゃないのに…



その瞬間私は、

夜に孤高と独り輝く月が

煌々と皆を照らす太陽と

一緒に居てはいけないんだと…

遅いながらも理解した―…







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