MOON LIGHT
海斗と一緒に学校の門をくぐる。
その瞬間、登校中の女子生徒達が海斗に向かって黄色い声を飛ばしている。
“キャーッ…海斗クーンッッ!!!”
“今日もかっこいいーっ!!!”
“こっち向いてぇー!!!”
「うわぁ、相変わらずモテモテね」
「アハハ…」
海斗をうっとりと見つめている中には、高等部3年のお姉様方までいらっしゃる様で…(笑)
「ハァ…、どうせなら好きな人1人にモテたいなぁ…」
「んっ、なんか言ったー??」
海斗がボソッとなんか言ったけど、よく聞き取れなかった。
「ううん、別に…」
「…??」
睫毛を伏せて少し憂いを満ちた表情はどこか悲しそう…。
「ホントになんでもないって!
ほーらっ、早く行かないと遅刻しちゃうよっ」
「…わかったよ」
海斗は言いたくないみたいだし、特に気にする事もないか…。
半ば海斗に背中を押される様にして高等部の玄関へと足を向けた。
「あっ、そうだっ…」
「んーっ??」
玄関へと向けていた足を止めて後ろを振り向いた。
「チュッ…お姉ちゃんは気付いてないみたいだけど、モテるんだから気を付けてね」
「…へっ…!!?」
驚いて見開いた目は、瞬きを忘れたように見開いたまま。
「じゃぁ、また帰りにねっ」
それでも海斗は、爽やかな笑顔を残して中等部に向かって行った。
取り残された私は、周りの騒がしい声の中、足は棒のように突っ立ったまま動かない。
海斗のキスを優しく落とされた頬はまだ熱を帯びているみたい…。
「わぁー、今日も囲まれてるねー」
聞き慣れた声が後ろから近づいてきた。