お家
私が物心ついたとき、父はいなかった。






父の顔すら見たことがない。









でも、いつも隣には必ず、明るい母がいた。









父の女遊びに耐え、私を一人で育ててくれた母が。









母は、今は田中さんと再婚して、幸せに暮らしている。











そして私は今、愛ちゃんと一緒に受験勉強に追われながら必死で暮らしている。











「もう私の幸せを奪わないで。消えて。お願いだからどっかいって」












そういうと、父は家に帰った。
< 43 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop