お家
「おと・・・いや、佐々木が逮捕される前、俺は最初、母さんのお姉さんのところに世話になった。おばさんとおじさんは本当によくしてくれた。だけど、なんか居心地悪くなって、家をでた。親父のこともあって。これ以上迷惑かけられないと思ったから。」





「なんで私の家知ってたの?」





「お前の母さんと再婚した田中っているだろ?あいつ俺のバイト先の店長だったんだ。それで、前、身の上話聞かされて、そんとき出たんだ。雪の母ちゃんの話。」




私のお母さんと田中さんは再婚した。





お母さんが働いていたところの常連さんで。お母さんと同い年で、話がよく合うとお母さんが言っていた。







「それで田中さん、なんて?」





「『俺、再婚するんだ。皐ちゃんって言うんだけどね?すごく好きなんだ。でも子供がいるらしいんだ。その子供、お前と同級生って言ってた。お父さんなんて呼んでくれないだろうし、一緒に住むかもわからない。だけど、皐ちゃんと飲み友達と同居するって言ってた。俺は結婚したら北海道に帰るけど、あの子は残るかもしれない。』って言われた。





もともと俺はその田中に頼み込んで、歳をごまかしてバイトしてた。だから田中には感謝してた。ちゃんとそこの寮にも入らせてくれた。たまには飯も食べに連れてってくれたりした。







だから、俺はそんな田中の力に少しでもなりたいって思った。







そして、前行ってた学校より、今日から入る学校のほうが近いってこともあったし、皐って人の子供を、大事に見守ってやってくれって言われたから、そうすることにしたんだ。」














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