Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
-ガガーン!-


「きゃあっ!」


…激しい雷の音に驚いたほのかが、勢いでケイの胸に飛び込んできた。


…初めて抱きしめた好きな女の子の身体は、想像以上に柔らかく、温かく、そしていい匂いがした。だが、今のケイにとってそれは、嬉しさと不安の入り交じった、とても複雑な心境だった。


「…一体、どこの誰と、恋したいの?」
「…変わった事を聞くのね。そんな事、今はまだ分からないわ。」
「君が欲しかったのは、人としての感情…だったのか。」
「私、生まれてから最近に至るまで、喜怒哀楽って何なのかが分からなかった。でもやっと、それを理解する方法が見つかった。」
「それが、『ロマンス・カット』…」
「うん。でも、でもね。最後の感情である、『喜び』や『楽しさ』を手に入れることが、すごく…怖い。」
「何故…!?ああっ、ど、どうしたのほのか!」
ケイは、ほのかが急に苦しみだしたのを見てびっくりした。
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