Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
…互いにかたく手をつなぎ、二人は駆けた。月明かり一つ無い不気味な闇の中を。
駆けて、駆けて、駆け抜けて、ようやく離れまでたどり着いた。
真っ暗なほのかの部屋の中に入った二人は、ようやく結んだ手をほどくと、互いに背中合わせになって立ち尽くした。
「…僕達は元々、いとこ同士でさえ無かったんだ。本当の…兄妹。」
「…」


…今日までケイは、本当に涙ぐましい程の努力を続けてきた。
世間体を考え、夕霧の家の事を考え、ほのかとの関係は、周りには一切オープンにはしていなかった。
少なからずとも、同じ一族の血を引く上でのほのかへの想いに、吐きそうになるぐらいのつらさと罪悪感に、正直ケイの心はひどく痛んでいた。
それでもケイは、十五歳ながら、果ては、誰も知らない街に流れ、ほのかを内縁の妻にしてもいいとさえ覚悟はしていた。
だが…




「…キス…しよ、お義兄…


ううん、『ケイ』…」
「ほ、ほのか…」
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