Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
「どうしたの?好きな者同士なら、普通のことでしょ?
そう、普通の…」
そう言って、背中越しにほのかがケイに抱きつこうとした、その時、
「だ、駄目だ!」
ケイは反射的に、ほのかを振り払った。
「きゃあっ!」
その勢いで、ほのかはベッドの上に投げ出されていた。


…やはり、「実の兄妹」と言う言葉のプレッシャーは、とても十五歳の少年に耐えうるものではなかった。
ぜえぜえと息を切らし、冷や汗をだらだらと流しながら、膝から崩れるように、力無くカーペットの上に座り込んだ。


「…そっか。そうだよねお兄ちゃん。駄目だよね、こんなの。」


「きっと…地獄に落ちちゃう。」



…それからの二人の季節は、実の兄妹と言う仕切りを挟み、目まぐるしい速さで次々と過ぎていった。お互いに、不完全燃焼な恋と言うしこりを心の中に残したまま。
そしてついに、二人の初恋に、悲劇という名の幕が下りる…
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