Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
しかし…
「…どういうつもりなんだい、ほのか。確かに君の思惑通り、やっと僕は、君の思いを絶ち切る為にロマンス・カットを行った、その直前の地点にまで戻ってはこれた。
でも、ここが君の言う、僕と君の未来の為の出発点だとしても、肝心の君がいない。
未来…笑顔を手に入れた君と、何時までも一緒に暮らすと言う事は、もう叶わないじゃないか…一体、君の真意はどこに…」


薄暗い自身の部屋の中、三枚目の遺書を手にしているケイは、天井を仰ぎ見たまま、熱い涙を流していた。
…十二月上旬、今ケイのもとに、悲しみという感情がまず戻った。


「…ケイ、本当に感謝しているよ。おまえをここまで不幸にしたのは、私のせいだというのに、黙って出て行くどころか、私にだけ、ここを旅立つ前に、今回の旅の目的について、わざわざ私の書斎の机の上に置き手紙をしてくれた。
文書だとしても、実の親子でも、ここまで腹を割って話せるなんてまれだろう…」
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