Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
「…そんな事言うんじゃないよ、ケイ。お前がそんな子でないことぐらい、私には分かる。


…別に無理に私の後を継ぐ事もないし、自由に、幸せに生きて欲しいんだ。」





「…幸せにって?どうやってさ?」
自分の部屋の中に入るなりケイは、暴れた。辺り構わず当たりまくった。部屋中、物が散乱した。
破れた本やら、割れた花瓶やら、その他もろもろ…
思えば、ケイやほのかは、同じ年齢の他のティーンエイジと比べるとやはり、普通では無かったかも知れない。
あの自動車事故で五年間、意識不明で眠り続けていたケイ、そして、生まれつき感情の乏しかった、人形の様だったほのか。
はっきり言って、まともな思春期を送ってはいなかった。
さらに二人を包んでいった様々な混乱の中、二人の思春期の時は、しだいに動かなくなっていった。


…十二月中旬、生き残ったケイのもとに再び、止まっていた思春期の時は訪れ、誰にもぶつけようのない怒りと言う名の感情がよみがえった。
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