Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
そこまで来ると、急にほのかがケイの方を振り返ったので、ケイは慌てて側にあった路地のくぼみに身を隠した。
「どうかしましたか?」
「…いいえ。誰かが後ろにいたような気がしただけ。」

-ああ、驚いた。…それにしても、こんな所で一体何を-

見た所、ほのかと一緒にいるのは、ケイやほのかと同年代の少女らしく、何か表情が暗い。しばらくの間、何やら二人で会話をしていたが、突然、その少女がわあっと泣き出し、ほのかに言った。
「お願いします!私の傷ついた心を、初恋の傷を請け負って下さい!」


「…どうか、お願いします、ほのか様!」


-ほ、ほのか様!?-


ケイは驚き声を上げそうになりつつも、すんでのところで両手で口をふさいだ。そして引き続き二人の様子を伺っていた。


「…いいわ。あなたの初恋の傷、この私が請け負ってあげる。」
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