Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第六話・最終話
ケイはほのかと、座敷で一緒に勉強する事以外では、二人きりになる事がなかった。それどころか、ほのか自身、自分の部屋にだけは、ケイを入れた事が一度もなかった。
旧家ながら、離れに一部、洋室の部屋を賢が作っていたのだが、そこがケイとほのかと言う、思春期の子供の為に、鍵がかかるプライベートルームとして与えられていた。
…好きな女の子の部屋を、自由に行き来出来ない。ケイにとっては本当に辛い事であった。それが突然訪れた幸運に、ケイは、胸のときめきを押さえるのに必死であった。
「あ、あの…ほ、ほのか…今日昼間…」
「入っていいよ、お義兄ちゃん。開いているから。」
…ドクン、ドクンと高鳴る胸を押さえつつ、ドアノブに手をやるケイ。そして開かれたその未知の世界への扉…
ほのかの部屋は、ケイが想像している以上に可愛らしかった。
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