★バレンタインの奇跡★
get back to the reality
「麻衣ってば、夢見過ぎ。そろそろ現実見なって。」
今だ彼が忘れられないあたしに、親友の由加里が言う。
「うーん。」
あたしは曖昧に答えると、昼食を食べ始める。
「確かに忘れられない気持ちも分かるし、素敵な話だけどさ。もううちら大学生じゃん?向こうもさすがにあきらめてるって。いいじゃん、井川。結構かっこいいしさ。全然ありだと思うけど?」
「うん。」
由加里の話しに適当に返事を返しながら、あたしは食べ続ける。
恋愛話は苦手だ。
出来るならほっといてほしい。
井川君には申し訳ないけど。
あたしに告白なんてしても、どーしようもないのに。
どこがいいわけ?
ずば抜けて可愛いわけでもなければ、性格だって飛び抜けていい人でも、気が利くわけでもない。
あたしの変わりになる子なんて、探せばいっぱいいると思う。
「ねぇ麻衣ってばっ!聞いてる?もぉ、このままずっと若いわけじゃないんだからね、気がついたらもう30だよ?おばさんだよ!?ひたすら奇跡だけ待ってていいわけ?」
「んー。」