★バレンタインの奇跡★
「?コレ、指輪?」
溝端君が落ちたあたしのネックレスを拾う。
その指輪を見つめながら、彼が一瞬沈黙になる。
眼鏡が邪魔で表情が読み取れないけど、あたしは素早く彼からそれを受け取り、カバンに閉まった。
「昔初恋の人からもらったんだ。オモチャなんだけどね、あたしにとってはずっとお守りみたいなモノで。実は今だに彼が忘れられなかったりして。」
あたしはワザと予防線を引いた。
じゃなきゃ溝端君に惚れちゃいそうで怖かった。
ううん、実はもう彼に惚れてる自分が一番怖かったんだ。
「…その初恋の彼、オレが忘れさせてあげようか?」
「え?」