★バレンタインの奇跡★
「ねぇもしさ、今この瞬間にその指輪の彼が現れたらさ、麻衣佳はオレと彼どっちをとる?」
溝端君が不意にそんなコトを聞くから、あたしの心臓が止まる気がした。
「そんなの、分からない。」
それがあたしの今の正直な気持ち。
泣きそうなあたしを見て、溝端君が優しくあたしの頭を撫でた。
「麻衣佳ってホント正直だな。普通は目の前にいるオレって言っとくもんだろ(笑)」
そう言って笑った彼は、何時もの優しい彼に戻ってた。
「…溝端君ってたまに分かんない。」
あたしはプイっと軽くスネる。
「だって麻衣佳が悪いんだぜ?」
「えっあたし?何で?」
「溝端君っての、そろそろやめない?何かヤダ。」
そう言って彼は、そっとあたしの手を握る。