★バレンタインの奇跡★
おじさんがイタズラっぽい笑顔で聞く。
“知ってる。バレンタイン教会でバレンタインの日に永遠の愛を誓った2人は、永遠に結ばれるってやつでしょ?でもそんなのただの噂だし。あたしには効かなかったから。”
あたしの言葉に、おじさんが驚いた顔をする。
“その年でもう永遠を誓った相手がいたのかい?”
“うん、すごく小さな頃にね。幼すぎて、まだ永遠の愛なんてどんなものか分かってなかったんだ。”
“…あそこで永遠を誓ったのなら、また必ず巡り会える。それがどんな形であれ。明日彼と一緒にあの教会を訪れてみるといい。本当の運命の相手なら、その時分かるはずだから。”
おじさんはそう言うと、他の客に呼ばれてカウンターを離れた。
運命の相手…?
ショーンとまた巡り会える日が来るの?
それがあたしの運命の相手?
翔クンは、違うってこと?
そんなおとぎ話みたいな、運命なんてあるわけない。
あたしはもう、夢ばかり見れる子供じゃない…