かんのれあ
じゃあ、あれは単なるすれ違いだったんだ



―――って、

普通なら、思えるはずなのに。




小さくなったはずのあたしの中の鉛のかけらは、

何かを吸い上げるように膨張し、

少しずつ、熱をもち始める。



そして
いつだかの、熱くてドロドロしたものへと姿を変えて、

体中をじわじわと巡る。



編集部で、河野さんと鏡華さんの姿を見たあの時ほどの速さはないものの、

その分じっくりと、体の節々に浸透してゆく。
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