かんのれあ
だってそれって、
鏡華さんが河野さんを、縛ってるっていうことだ。



なんか、ずるい。




そう思って、はっとした。


気づくとあたしは、河野さんの心配そうな目をよそに、

俯き黙り込んでしまっているようだった。



作家と担当の問題なのに、あたしは何て嫌な事を考えてたんだろう。


冷静になった途端自分が恥ずかしくて、

そして惨めに思えた。




「大丈夫?
具合悪いの?」

河野さんが、あたしの顔をまじまじと見つめる。



「河野さん…」


「ん?」


あたしだって、河野さんと仕事がしたいです

―――と、喉まで出かけた言葉を呑んだ。
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