かんのれあ
鏡華さんは、華奢なシルバーアクセのようなストラップのついた、
黒くて薄い携帯を素早く取り出す。


そして着信相手を確認すると、鳴らしたまま閉じてしまった。



「あの、いいんですか?」


「うん、いいの」


「でも…、まだ鳴ってますよ」


「大丈夫。

着信、河野さんだから」


心臓が、あたしの胸を突き破るかと思った。

そのくらい、大きな音を立てた。



二人が一緒にいるのを見ても平気になったはずなのに、

こうして、目の前でその繋がりを見せられると……

さすがに、胸が何かに抑えつけられるような、
そんな気持ちになる。
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