かんのれあ
「いいじゃない、あなたは思い通りの結果がついて来てるんだから!

私なんか、落ちぶれたとかスランプだとか、
勝手に周りに決めつけられて諦められて、
その中でやらされてるのよ?

ちょっと心配させてやるくらい、いいじゃない!
私の居場所取らないでよ!」





…なんかそれって、

河野さんは自分のって、
言ってるみたい



"作家と担当だけの問題"とか、そういう難しい事以前に、

あたしの奥に留めていた、率直な気持ちが顔を出す。




「河野さんは…、
鏡華さんの所有物じゃありません…っ」


次の瞬間、何かがあたしの頬を叩く鋭い音が、トイレの中に響き渡った。



あたしの前には、
歯を食いしばって、
開いたままの右手を震わす鏡華さん。


しばらくすると、熱を持った頬に、じわじわとした痛みが加わってきた。

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