かんのれあ
あたしはそれを拭わずに
、目の前の鏡華さんを睨むように捕らえる。


「だって、そんなのずるいです。

心配させるとか居場所がどうとか…、
そういうのって、作家としての仕事で勝ち取るものだと思います。

あたしは…、そんな人には負けません…!」



自分に言い聞かせるように言ったそれは、

作家としての宣戦布告なのか、

それとも他の何かなのか、

すっかり高まった感情の中では、自分でも判断する事ができない。



けれど鏡華さんは、作家として、その言葉を受け取ったらしかった。



あたしの腕を逆らえないほどの力でぐいっと引っ張り、

既に空っぽになっていた二次会の会場へと連れて行った。


鏡華さんの細い指が、
あたしの腕に食い込んで痛い。
< 153 / 200 >

この作品をシェア

pagetop