かんのれあ
「勝負しなさいよ」


「勝負…?」

強気を装うものの、あたしの顔には怪訝というか、不安な色が出てると思う。



「私の作品に負けないっていうんでしょう?
だったら、勝負しなさいよ!」


鏡華さんは、固くこぶしを握り、高まった感情を鎮めようとする。


「…同じ発売日に、全く同じジャンルの本を出すの。
同じ出版社だもの、発売日には隣り合わせで平積みされるわ。
それで勝負しましょうよ。どっちに読者が流れるか!」


同時期に似た作品が出るということは、必ずどちらかに読者が偏ると言っていい。


はっきりとした原理はわからないけど、
"面白い方に偏る"

ただ、それだけだと思う。

実際に、それで潰れていく人たちを何人も見かけた事がある。
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