かんのれあ
「……わかりました。勝負します」


知名度だって実力だって、鏡華さんには叶わない。

だから、そこまで成長して見せればいい。


そう思った。

それに何より、ここまで来ておいて今更引くなんてできない。



「ちょっとタ――――――ンマ!
君達二人で何話進めてんの?担当の意見無視っすかね!?」


山崎さんが、あたしたちの間に両手を広げて割って入る。



「最悪二人して共倒れしたらどーすんの?
河野さんも黙って見てないで下さいよ!」



「……作家の寿命を縮める真似は、俺も賛成できないな」


そして、「ほら見ろぉ」と山崎さんが言いかけた時だった。



「けど、いいんじゃない。
競い合いで成長する事だってあるんだから。

潰れてしまえば、それはそれまでの精神力だったって事だよ」


そう言うと、河野さんの目があたしを確かめるように見つめる。
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