かんのれあ
それは、あたしの精神力を推し量るというよりも、

覚悟はあるのかと聞かれているようだった。


きっと河野さんは、鏡華さんと全力で、

今までで最良の作品を仕上げてくるだろう。

それでもいいのか


と、聞いていた。



けど、ここで物怖じしたら、

あたしはずっと弱いままだ。



あたしの涙を拭いながら、

安心できないよと言っていた、

河野さんの悲しそうな笑顔を思い出す。




「ありがとうございます」



あたしは強気の色を保ったまま、瞳を少しだけ緩めた。
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