かんのれあ
最初は河野さんに少しでも認められたくて、

褒めてほしくて。


そんな気持ちからだった。



厳しさも、優しさも、

とにかく全てが嬉しくて、

信頼の気持ちが、

あっという間に、広く、深くあたしの中に浸透していって。



そこから、小さな花が芽生えていたのは、

いつからだったのだろう。



あたしは何度も芽を摘んだけど、

奥底にまで細く長い根を広げていたそれは、


何度も、何度でも、

負けじと地から顔を出した。



気付かないでやり過ごすなんて、最初から無理だったんだ。




心の穴を吹き抜ける風や、

熱い鉛の液体にもびくともせず、


それどころか、

更に、強く、

根付いてゆく強さを、それは持っていたから。




この気持ちを憧れだとか、

恋じゃないよと言われたら、


それまでなのかもしれない。




それほど、

あたしの中の蕾は小さくて、まだまだ不安定だと思う。





けど、

河野さんがあたしの涙を拭ってくれたあの時、


本当は、

あたしも自分の頬に手を伸ばして、

そのままその手に触れたかった。



悲しくて、愛しくて、

仕方がなかった。




あたし、


河野さんのことが大好きです。

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