かんのれあ
七章 桜降る頃
あれから更に何日か経った。
今日は日曜日だと言うのに、朝からあたしは慌しくしていた。
リビングにいる父親が、昼過ぎの出勤に合わせてゆったりしているのもお構いなしに、
あたしは定期だ携帯だと家中を走り回る。
これから出かけるのに力みすぎずラフすぎずの丁度いい洋服を選んでいたら、
すっかりこんな時間になってしまった。
小さなバッグに、"ちょっとそこまで"行くのに最低限の持ち物を詰めると、
さっきの慌しさを一瞬やめて、
あたしは玄関の鏡で3秒ほど、身だしなみを整える。
そうしてまた、いそいで靴を履くと、
隙間から眩しい光の差し込む扉の向こうへ、飛び出して行く。
ぽかぽかと気持ち良い陽気に、あたしは思わず目を細める。
そよ風が、葉と葉を擦らせて、さわさわという音を立てている。
春風の強い、3月の晴れたある日のことだった。
今日は日曜日だと言うのに、朝からあたしは慌しくしていた。
リビングにいる父親が、昼過ぎの出勤に合わせてゆったりしているのもお構いなしに、
あたしは定期だ携帯だと家中を走り回る。
これから出かけるのに力みすぎずラフすぎずの丁度いい洋服を選んでいたら、
すっかりこんな時間になってしまった。
小さなバッグに、"ちょっとそこまで"行くのに最低限の持ち物を詰めると、
さっきの慌しさを一瞬やめて、
あたしは玄関の鏡で3秒ほど、身だしなみを整える。
そうしてまた、いそいで靴を履くと、
隙間から眩しい光の差し込む扉の向こうへ、飛び出して行く。
ぽかぽかと気持ち良い陽気に、あたしは思わず目を細める。
そよ風が、葉と葉を擦らせて、さわさわという音を立てている。
春風の強い、3月の晴れたある日のことだった。