かんのれあ
これからあたしは、編集部へ向かう。



春の陽気と、突き抜ける青空のせいもあってか、

あたしはほのかな高揚感を感じていた。



いつもの駅の風景は卒業シーズンのせいもあってか、

桜色を思わせる、制服姿の学生たちをあちこちで見かけた。



それぞれの不安や寂しさを抱えつつ、

"おめでとう"とか"また遊ぼうね"とか、


いつにも増した満面の笑みで、

かけがえのない友との別れを惜しんでいる。





どうして春は切なくて、

それでも自分の中に強く行き続ける、

そんな思い出が多いんだろう。



その思い出は、

ほんの一瞬咲き誇り、
そして散ってしまう桜みたい。



花を散らせ、その木に鮮やかな緑色の葉をつけるように、

思い出は、自分の中の糧として生き続けることだってできる。
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