かんのれあ
そこで、河野さんは「そうだ」と思い付いたように、
散らかる机の上にぽっかりと空けたスペースに置いてある、大きな封筒を手にとった。
「読ませてもらいました」
そうして微笑みを向ける河野さんから、あたしは封筒を受け取る。
今回書いたこの話をどうしても河野さんに一番に見てほしくて、
原稿を完成させるとすぐに、あたしは山崎さんに内緒で河野さんにお願いしたのだった。
「山崎から聞いたよ。
一人で書いたんでしょ、これ?」
「いえ、原稿にストーリーとして書き起こすのは一人でしたけど、
河野さんがいなかったら、書けなかった話でした」
「…………。
全体的な水準としては……、やっぱり、鏡華さんのが上かな。
でも気持ちがすごくリアルだし、何より、動きがちゃんと出てる。
勝負なんて言い出した時にはハラハラしたけど……かなり成長したと思う。
これなら、ひょっとすると読者が半々になるかもしれない」
河野さんはいつの間にか、片付けを再開させている。
散らかる机の上にぽっかりと空けたスペースに置いてある、大きな封筒を手にとった。
「読ませてもらいました」
そうして微笑みを向ける河野さんから、あたしは封筒を受け取る。
今回書いたこの話をどうしても河野さんに一番に見てほしくて、
原稿を完成させるとすぐに、あたしは山崎さんに内緒で河野さんにお願いしたのだった。
「山崎から聞いたよ。
一人で書いたんでしょ、これ?」
「いえ、原稿にストーリーとして書き起こすのは一人でしたけど、
河野さんがいなかったら、書けなかった話でした」
「…………。
全体的な水準としては……、やっぱり、鏡華さんのが上かな。
でも気持ちがすごくリアルだし、何より、動きがちゃんと出てる。
勝負なんて言い出した時にはハラハラしたけど……かなり成長したと思う。
これなら、ひょっとすると読者が半々になるかもしれない」
河野さんはいつの間にか、片付けを再開させている。