かんのれあ
「実話ですから」


"リアル"という言葉を訂正するように、

あたしは封筒を握り締め、河野さんの心へ訴えかけるように言った。


しかし河野さんは何も言わず、

こちらに背を向け、相変わらず片付けを続けている。



「……」



しばらくの、沈黙。


たまらなく恥ずかしくて、

怖くて、

逃げ出したくなるのを、


何とか必死に踏みとどまって、

あたしは目の前で顔を背ける河野さんを、見つめ続ける。



そして、しばらくしてからようやく、

河野さんは静かに、口を開いた。
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