かんのれあ
あたしが驚いて振り向くと、そこには三十代半ば程と思われる、

顔も体型も良く言えば平均的、悪く言えばパッとしない普通の真面目そうな男性が、

こちらに微笑みと心配そうな目線を向けていた。



「大丈夫?
何かここで一服してたらうちの会社から凄い勢いで女の子が出てきたの見えたからさ、」


そう言いかけると、瞳に涙をためたままきょとんとしてるあたしを見て、


「あぁ、ごめんごめん俺怪しい人間じゃないからね」


と男性は慌てて、左腕で抱えていたスーツのジャケットから名刺を取り出した。
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