かんのれあ
「いえ、違います。
ちょっと色々あって、勝手に編集部に押しかけちゃって………」


「ほう」


河野さんは、あたしの左隣り――風下に移動し、あたしから適度に離れた位置に立つと、

加えたタバコに火をつけた。


「色々ですか」


ついさっきまで、どうしたのーとか、持ち込みなのーとか、

色々聞いてきたくせにここにきてこんな口調になる。


君の話に興味はなくはないけど、別に無理に話さなくてもそれはそれで構わないよ、

そんな感じ。
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