かんのれあ
二章 小さな変化
あれから、あたしたちは喫茶店に場所を移していた。



「まあ、山崎さんへの一番の仕返しは、とにかく売れる事だよね」


テーブルを挟んであたしと向かい合っている河野さんは、組んだ腕を支えにして軽くこちらに乗り出し、

冗談っぽくはにかみながら言った。


「で、これからなんだけど――もちろん雑誌に載るのは悪い事じゃないよ?

たださ、漫画家とかだとコミックスの他にも雑誌のアンケートがあるわけだけど、

小説家は自分の本がどれだけ売れるかにかかってるんだよね。

だからノベルズに載せる短編よりも、

本を出してシリーズ化できるような企画に集中した方が、俺はいいと思う。」
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