かんのれあ
こんなに尽くしてくれる担当さんに出会えたことが、

私のために一生懸命になってくれることがたまらなく嬉しくて、

あの日は特に、その喜びを噛み締めていたから。



――そう。



あたしには、慣れない事だった。


だからあんな、思い出すだけでむずがゆく、

頭を掻き乱したくなるような思考に、至りそうになったんだと思う。



プリントを探す手を止めていると、

携帯の鋭い着信音で我に返り、あたしは慌ててそれに出た。
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