かんのれあ
「売り上げが悪いって……、具体的には、どんな数字なんですか?」


怒りか悲しみか申し訳ないという気持ちからか。


とにかく、やるせなさを押し殺して震えた声を、あたしはできるだけ冷静に絞り出す。


「…………」


少し間があってから、電話の向こうで机をあさるような音が聞こえてきた。



「っあ~、今手元に資料がねえんだよな……。明日知らせるわ」


「わかりました。じゃあ今から、あたしが編集部行きます」
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