かんのれあ
「河野さん!」


あたしがそう言うよりも先に、視界の横を漆黒の長い髪がなびいたと思うと、

鏡華さんは河野さんのもとへと駆け寄っていた。


河野さんは、あたしを見て一瞬固まる。


が、そのまま鏡華さんへと視線を変えると、二人は世間話を始めてしまった。



それから河野さんはあたしを横目に、社会人の礼儀として軽く会釈をすると、

鏡華さんとどこか奥へと行ってしまった。
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