かんのれあ
何で無視するんですか?とか、

河野さんは鏡華さんじゃなくて、あたしの担当ですよねとか、

色々あたしの中に渦巻いたものはあったけど、

それよりもさっきの、河野さんが鏡華さんを見下ろしながら微笑みを向けるという光景が、

ぐるぐるぐるぐる、熱くてドロドロしたものになって体中――特に胸の辺りを、

物凄いスピードで巡り巡っているのを感じていた。


感じ方こそ違いはあったものの、居心地が悪く、気持ちが悪いという点では、

こないだの"アレ"と、全く同じものだった。



……河野さんのことだ。


編集部で会うなりきっと目を大きくして、それかいつものように微笑んで、

迎えてくれると思っていたのに。


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