幕末Drug。番外編・其の弐−沖田総司−
…正直、今の俺にとっては有り難い話だ。
9歳の頃から道場に来て早12年。尊敬する師匠や気の合う仲間に囲まれ、毎日楽しく過ごして来た。
でも…−
このままでは、成長出来ない…
そんな不安を、何時も頭の何処かで抱えていた。
大切な物を守る為に此処に居るのに、成長出来なければ意味が無い。
剣術指南役になれば、今よりも強くなれるかもしれない…其れに加え、金に困る事も無くなるだろう。
『近藤さん…ちょっと、考えてきます。』
『…ああ。そうしろ。』
言葉に力が入らず、いつもよりゆったりとした歩調で俺は道場を後にした。