市立青い空学園2

教室編

「みんな、静かにしたほうが良い。なんだか先生が喋りたいらしいぞ」

クラス委員である佐藤の声でやっと静かになった室内に、担任の泣き声が響く。クラス担任は真っ赤に腫らした目で室内を睨み回す。

「き、君達は年上を敬うということを…知らないんですか！？」

「クラス担任、いい質問です」
佐藤はゆっくり手をあげ椅子に深く座り直し、人差し指を突き出し、

「答えてほしかったらこれから1ヶ月間遅刻しないで来て下さい。そしたら考えます。 だいたい自分にカリスマがないからって周りのセイにしないで下さい。人として最悪です、しかも泣くなんて」

「だって、だってみんな先生のこと無視するじゃないですか！」

顔を真っ赤にして叫ぶ担任を無視して佐藤は話しを戻す。横目で隣を見れば新聞部期待のルーキーである山田は机に突っ伏して爆睡中。
「で、クラス担任。一体どうしたんですか？先程も何か言っていましたが？」

ええ、と頷きクラス担任は深呼吸。ドアに歩み寄る。

「実は転校生が今このドアの向こうにいるのです！」

そして勢いよくドアを開け、今までの空気を払うように腕を振る。

「なめ猫家第132代目時期当主の猫田君です！」

直後、廊下から響くバスドラムのような重低音。
次に来るのは何か硬い物同士が擦れるような耳障りな音。

「ハッハー！」

何かの笑う声と共に廊下から黒いモノが教室に高速で侵入。

次の瞬間、段差のある教壇に激突。何かから分離するように黒いモノが宙に投げ飛ばされ窓に激突。

破砕音。

「え、な、何？どうしたの？」

黒髪ポニーテールを揺らしながら山田が跳び起きる。彼女は教壇の所に転がる黒い物と、割れた窓。

「あ、えーと、佐藤君？」

「なにかな山田さん」

山田は左手で窓、右手で黒い物を指差し、

「なにあれ？」

「割れた窓とあれはミニバイクかな？小さいがタイヤが2個あるしね」

「いやそうじゃなくて、なにが起きたの？」

「むしろ私達が教えてほしいよ」

クラス内の生徒が全員頷き、担任は窓に向かって

「猫田あああ！」

叫び声が窓の向こうに消えていった。